日本洋食器界のスター「ノリタケ」〜その魅力や歴史、人気のコレクションに迫る〜
日本が世界に誇る食器ブランドとして名高い「ノリタケ」。長い歴史のなかで育まれた高い技術力と美しいデザインで世界中の人を魅了しているこのメーカーの食器はバラエティ豊かで、ご家庭用だけでなく幅広い層の方への贈り物としても愛されてきました。
本記事では、そんなノリタケというブランドの歴史や魅力、人気コレクションなどについて解説していきます。
1. 食器ブランド「ノリタケ」とは
食器ブランド「ノリタケ」は100年以上の歴史を誇る洋食器メーカーであり、日本で初めてディナーセットを製造したブランドとしても有名です。今ではマグカップから花瓶まで多種多様なアイテムを展開していて、日本の洋食器を代表するブランドとなっています。
ノリタケは、元々日本の文化ではなかった洋食器の製造技術を長い歴史のなかで育んできました。美しいデザイン性のみならず、一流の技術に裏打ちされたこのブランドの食器は長く愛用することができ、自宅での使用はもちろん、大事な人へのプレゼントとしてもピッタリのアイテムになるでしょう。
2. ノリタケ食器の魅力
幅広い人気を誇るノリタケの食器ですが、特に人々を惹きつけているものは何なのでしょうか?
本章では、ノリタケ食器の魅力を「熟練の職人による高い技術力」「バラエティに富んだデザイン性」「伝統と革新の融合」の3つの視点から解説していきます。
2-1. 熟練の職人による高い技術力
ノリタケの製造する食器は、メイド・イン・ジャパンらしい高い技術力の結晶でもあります。熟練の職人が情熱を注ぎ込んで作り上げた食器は、いずれも高品質なものばかりです。
またノリタケでは、生地や絵付け材料の開発から絵付けに至るまで全ての工程で厳しい品質チェックを行っています。そうした一切の妥協を許さない姿勢もまた、上質な食器の製造に一役買っていると言えるでしょう。
2-2. バラエティに富んだデザイン
ノリタケブランドの食器デザインは長い歴史のなかで徐々に幅を広げてきており、多くの商品を展開する今となっては文字通り多種多様なデザインを生み出すことになりました。
当初は西洋デザインの模倣であったものが和洋折衷やポップなデザインなどさまざまな方向に進化していて、誰にとっても自分のお気に入りを見つけられそうな充実ぶりです。
戦前の昔に生み出された「金彩」「エナメル盛」「ラスター彩」といった技法は現代にまで受け継がれ、ノリタケの誇る豊富なラインナップを支えています。
2-3. 伝統と革新の融合
上述の技術力・デザイン力はいずれもノリタケの長い歴史を通じて育まれ、同ブランドの伝統のひとつとなってきました。しかしその歴史はまた“伝統”と化したものを破壊し、革新へと至る道でもありました。
例として、1889年のパリ万博での一件を見てみましょう。純白の洋食器の美しさと西洋の持つ高い製陶技術に感銘を受けたノリタケは、日本でも純白の食器を製造しようと試みます。当時の日本では純白の食器は他に例がなく、このことはかなりのチャレンジとなりました。そしてノリタケは困難な状況でも試行錯誤を重ねていき、ついに純白の食器を製造することに成功します。
その後も白色の食器の製造について試行錯誤を重ねながら新しい表現を模索していったノリタケの姿勢は、まさに“伝統”と“革新”の両方を大切にしていると言えます。
3. ノリタケの歴史
ノリタケは、100年を超える歴史を誇る伝統的な食器ブランド。ブランドの背景にある歴史を知ればこそ、商品に注ぎ込まれた哲学が見えてくるはずです。
本章では、食器ブランド・ノリタケの歴史を時代ごとに解説します。ぜひ目を通してみてください。
3-1. 江戸時代末期:福沢諭吉による助言
ノリタケのルーツは、何と江戸時代の末期まで遡ることができます。後にノリタケの前身となる「森村組」を設立する江戸の馬具商人・森村市左衛門は、日本の金銀が不当に安く海外に流出していることに気付きました。そこで当時森村が師と仰いでいた福沢諭吉に相談を行い、輸出貿易で外貨を稼ぐことを助言されます。
当時長い鎖国時代を経て開国したばかりの日本にとって、海外への輸出貿易は考える以上にスケールの大きな話であったことでしょう。
3-2. 明治時代:アメリカに輸入雑貨店開店〜日本初のディナーセットの誕生
明治9年に森村市左衛門は貿易商社「森村組」を設立。弟である豊(とよ)をニューヨークへと派遣し、「MORIMURA BROTHERS」という輸入雑貨店を開店させます。
当初から日本発のさまざまな雑貨を販売していましたが、アメリカにおける陶磁器の人気に目を付けた森村組では自主開発商品として陶磁器を販売する計画を立てていました。とはいえ、遠い異国の地で売れる陶器を開発するのは至難の業。そこで市左衛門は当時のアメリカの主流であった白色の洋食器開発に取り組みます。
明治35年、森村組はついに純白生地の食器の開発に成功。後にこの白生地は業界で「日陶の3・3」と呼ばれることとなります。続く明治37年には森村組は「日本陶器合名会社」と名前を変えて、日本の近代陶業の幕開けを飾りました。またこのとき、創業の地である愛知県の則武という地名からブランド名を「ノリタケ」としました。
さらには大正3年、ノリタケは日本初となるディナーセット「セダン」を完成させます。こうして独自の製造技術を蓄えてきたノリタケは、アメリカへの輸出を本格化させていくことになります。
3-3. 大正時代・昭和時代初期:アメリカで人気を博す
大正時代から昭和初期にかけての時代は、ノリタケにとってアップダウンの激しいまさに“試練の時代”となりました。
大正時代のノリタケは、当時の好景気や流行を捉えたデザイン性によって売り上げを拡大させていきます。そして昭和8年にはやはり日本初となる「ボーンチャイナ」の開発に成功。ボーンチャイナは日本における製造のハードルが高かった食器ですが、当時のスタッフたちの絶え間ぬ努力によってその課題を克服し、ついに製造へと至りました。昭和13年に入るとノリタケは、ボーンチャイナをアメリカへ大量に輸出するようにまでなります。
輝かしい歴史の一方で、昭和4年に起きた世界恐慌に端を発する不景気にノリタケは苦しんでいました。さらにはそれに輪をかけるように、昭和16年には太平洋戦争が勃発。このような状況下でノリタケは対米輸出を諦めざるを得なくなり、戦争終盤には食器の製造を一時中止して、軍需産業向けに砥石製造を行いました。
3-4. 戦後〜現代:創立100年を超え日本を代表する洋食器メーカーに
第二次世界大戦が終結してからは、日本という国の復興と歩を合わせるようにノリタケは着実に再構築を進めていきます。昭和32年には「良いものをつくり、社会に貢献し、社会とともに発展する」という思いが込められた社是を制定。以後のノリタケは食器製造はもちろん次々と新事業を開拓していき、名実ともに日本の洋食器メーカーのトップランナーとなりました。
平成16年に創立100周年を迎えたノリタケは、現在も世界中に多くのファンを抱えたまま、次の100年へと新たな目標を見据えているところです。
4. 「オールドノリタケ」とは?:世界中で人気のアンティーク食器
「オールドノリタケ」とは、ノリタケの創業間もない19世紀末から第二次世界大戦までに製造されたノリタケ食器を指します。
英語圏においては“EARLY NORITAKE”という愛称で親しまれているこの時代のノリタケ食器には、高度なデザイン力と職人技によって生み出された名品がそろっているのが特徴です。高い芸術性すら感じさせるオールドノリタケの食器たちには時代を超えて多くのファンがついていて、現代でも価値の高いアンティーク食器と見做されています。
4-1. オールドノリタケその①:アール・ヌーヴォー様式
オールドノリタケにカテゴライズされるノリタケ食器のデザインは主に2つに分類されており、そのうちのひとつが1885年頃から1935年頃にかけて製造されていた“アール・ヌーヴォー様式”の食器たちです。
この時代の西洋ではゴージャスな印象のアール・ヌーヴォー様式が流行しており、ノリタケでもそれに合わせた商品開発を行っていました。その特徴は、複雑な曲線と自然物のモチーフ、淡いパステルカラーで表せます。
使われていた技法としては、本焼成を終えてから絵付けを行うことで華やかに見せる「ハンドペイント」、金の特定部分を酸で腐食させて食器に施す「エッチング」といったものがあります。これらはいずれも当時のノリタケが持っていた高度な技術力を表す象徴する技法として今に知られています。
4-2. オールドノリタケその②:アール・デコ様式
“もうひとつのオールドノリタケ”であるアール・デコ様式の食器たちは、1922年頃から1929年頃の短い期間によく製造されました。アール・デコの特徴はシンプルかつ直線的な美であり、当時主流になりつつあった都市型のライフスタイルに合わせて世界中で流行しました。
アール・デコ様式のオールドノリタケによく使われた技法は「ラスター彩」というもので、金彩にも近い煌びやかさを表現できることから当時のアメリカ人に特に好評を博しました。
4-3. ノリタケの人気コレクション4選
数々の名コレクションをそろえるノリタケの食器を購入しようと思うと、どれを選べばよいか迷ってしまう方は少なくないでしょう。
そこで本章では、数あるノリタケのコレクションのなかから特に人気の高いものを4つ紹介します。
4-4. オマージュコレクション
「オマージュコレクション」は、先述の「オールドノリタケ」へのオマージュとして誕生したシリーズです。当時の美意識と時代性を反映したデザインの数々を現代風へとアレンジし、新たな息吹を加えています。
このコレクションはコーヒーカップとそれを支えるプレートから成っていて、使用すればいつもよりもちょっぴり優雅な気分でコーヒーの風味を楽しめることでしょう。西洋的なエレガンスを継承した豪華な装飾が、まるでオールドノリタケの時代に迷い込んでしまったかのような錯覚を与えてくれます。
4-5. 花更紗コレクション
ゆるやかなシェイプに描かれたペルシャ風の花模様が、この「花更紗(はなさらさ)コレクション」のアイコンです。のびのびと描かれた架空の植物“生命の樹”には奥深いエレガンスが感じられ、幅広い世代の人にアピールしています。
1989年の発売から今日に至るまで愛され続けるロングセラーコレクションとなっていて、使う人の好みを選ばないことから大事な人へのプレゼントとしてもおすすめできる名品です。
4-6. ダイヤモンドコレクション
「ダイヤモンドコレクション」は、1979年から21年間に渡って販売されていたノリタケの高級コレクションのひとつ。特徴は何と言っても白色陶磁器のなかでも世界最高峰の白さを誇ると言われる点であり、これもまたノリタケの持つ世界有数の技術力を持って生まれたものです。
白い表面には金彩による装飾が加えられているものが多く、見る者に優美な印象を与えてくれます。2000年には惜しまれつつ廃盤となってしまったため、今でも高い希少価値を持つコレクションとなっています。
4-7. となりのトトロコラボシリーズ
ノリタケでは、スタジオジブリの名作映画「となりのトトロ」とコラボレーションした食器を多数展開しています。このシリーズは、宮崎駿氏の「雑草とトトロを題材にした食器を」という提案から生まれたもの。
食器表面に描かれたかわいいトトロの表情を見れば、忙しい毎日のなかでもホッと一息。なかには宮崎駿氏本人が自ら描いた絵柄もあるそうで、コレクション欲を刺激する面もありそうです。
5. 食器のお手入れについて
いざノリタケの食器を購入したとしても、誤った使い方をしていると劣化を早める結果となってしまうでしょう。
せっかくノリタケの食器を手に入れたなら、適切にお手入れを行って長く使用するのが一番です。そこで、本章で紹介するお手入れ方法をぜひ参考にしてみてください。
5-1. 基本は「使用直後に洗う」「洗った後はしっかり乾燥させる」
基本のポイントは、「食器を使用直後に洗うこと」「洗った後はしっかりと乾燥させること」の2点になります。
食器には目には見えなくとも微細な凹凸がついていて、放っておくとそこに汚れが染み込んで取りにくくなってしまいます。そこで重要になるのが、使用直後の洗浄です。食器は使い終わったらすぐに、食器用洗剤をつけたやわらかいスポンジで洗うようにしてください。
食器を洗い終わったとしても油断は禁物です。食器のなかでも特に陶器類は水を吸収する性質のものがあり、表面が乾いているように見えても内部は湿っていることも少なくありません。そのため、ある程度時間を掛けてしっかりと乾燥させることが重要なのです。
5-2. 新品の陶器には「目止め」を行う
食器を長く愛用するために大切なのが、この「目止め」。目止めは新品の食器に対して行うもので、表面の微細な凹凸をコーティングして変色やにおい移りを防ぐことが目的です。先述の通り食器には小さな凹凸がたくさん存在しているので、普通に使用していると凹凸に料理の色素やにおい成分が入り込んでしまうのです。
目止めを行う具体的な手順は以下の通りです。この方法では、米の研ぎ汁に含まれるでんぷん質で食器表面の凹凸を塞ぎます。
- 大きめの鍋に米の研ぎ汁を食器が完全に隠れる程度まで入れて15〜20分程弱火にかける
- 火を止めて、完全に冷めるまで放置する
- 食器を水洗いし乾燥させる
5-3. 急激な温度変化に注意する
食器のなかには急激な温度変化に弱いものも多く、注意が必要です。もしそうした種類の食器を急激な温度変化に晒すとひび割れたり、もしくは完全に割れてしまうケースも少なくありません。
とりわけ電子レンジは急激に温度変化を起こす性質のものなので、一回の使用では問題がなくとも繰り返し使っていると食器の劣化につながりやすいです。どうしても電子レンジを使用したい場合には、「電子レンジ対応」と表記されている食器を選びましょう。
5-4. においやシミが取れないときの対処法
どんなに気を付けていても、食器ににおいやシミがついてしまってさっぱり取れないということは起こり得ます。そうしたときの対処法はいくつか存在しますが、ここでは用意するものの少ない以下の方法を紹介します。
- クエン酸を溶かした水に食器が完全に浸るように入れる
- 沸騰させた後、完全に冷めるまで放置する
- 食器を水洗いし乾燥させる
この方法を用いれば酸の力でにおい・汚れはきれいに落ちるはず。ただしそれでも落ちないしつこいにおい・汚れには、“重曹を溶かした水に食器を1日浸けておく”という方法もあります。
5-5. 食器の保管方法
食器を長期間使用せずに保管するときには、直射日光の当たらない風通しのよい場所に置いてください。強い日光や高い湿気は、確実に食器の寿命に悪影響を与えます。
加えて、食器を重ねて保管するときは間に新聞紙などを挟んで少しでも割れる可能性を減らしておくことも忘れないようにしてください。
6. まとめ
本記事では、日本が世界に誇る洋食器ブランド「ノリタケ」の魅力や歴史、人気コレクションなどについて紹介してきました。
豊富な技術力とバリエーションを持つノリタケの食器は、きっと多くの人が満足できるであろうクオリティを備えています。ご家庭で、あるいは大切な人へのプレゼントとして、日々の生活に潤いを与えてきたノリタケの食器は、手放すときを迎えても、買取に出して次の方へと引き継ぐことができる点も魅力です。
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