2026.03.10

「伊万里焼」〜世界的人気の日本発磁器・その魅力や価値とは〜

古伊万里

伊万里焼といえば、長い歴史を持った日本を代表する磁器のひとつ。

その美しいデザインと高級感のある品質、耐久性ろ高さによって国内外に多くのファンを獲得してきました。

本記事では、そんな伊万里焼の魅力やルーツ、骨董品としての価値までを掘り下げます。ぜひ目を通して、伊万里焼の世界の奥深さを感じてみてください。

1. 伊万里焼とは?その特徴について

伊万里焼とは、現在の佐賀県有田町付近で作られている磁器の総称です。江戸時代から続く長い伝統と美麗な装飾などから国際的にも広く人気を集めており、古いもののなかには骨董品としての高い価値を持つものも少なくありません。

1-1. 伊万里焼の魅力

“陶石(とうせき)”と呼ばれる石を原料にして約1,300℃もの高温で焼き上げられる伊万里焼は、息を吞むほど美しい透き通るような白い磁肌で有名です。滑らかかつ繊細な磁肌からは職人たちの高い技術力と息遣いが感じられ、伊万里焼の魅力の基礎を形作っています。

 

そうして作られる伊万里焼の美しい磁肌には、これもまた職人たちによる丁寧な絵付けが行われます。リスの毛から作られた筆を使用しての繊細な手書き作業によって、豊かな色彩と洗練されたデザインの絵付けを実現。製品一つひとつに奥深さと格調の高さを与えています。

 

そのほか、耐久性の高さも見逃せないポイント。硬度の高い陶石を原材料とし、高温での焼き上げを必要とする伊万里焼は耐久性に優れていて、日常使いにも重宝する磁器です。

1-2. 伊万里焼と有田焼の違いは?

伊万里焼と一緒によく名前の挙がる焼き物に「有田焼」があります。この二つの磁器には、一体どんな違いがあるのでしょうか?

 

実は、この二つの磁器は使われる原料も製造方法もよく似ており、見た目の上にも違いはありません。唯一異なるのが産地で、現代では有田町で作られるものを「有田焼」、その隣にある伊万里市で作られるものを「伊万里焼」と呼んでいます。

 

このように同じ磁器の呼称が2つ生まれた背景には、歴史的な経緯が関係しています。江戸時代すでに磁器生産の拠点として栄えていた有田で焼かれた磁器は、輸出の際に伊万里港を経由していたことから、「伊万里焼」と呼ばれていました。それが明治以降になると、鉄道発達の影響で磁器の運搬に伊万里港が使われなくなり、生産地の名前を取った「有田焼」という名称が普及するようになりました。

 

前述のように現代では生産地で呼び分けられることの多い2つの磁器ですが、その同質性から「有田焼・伊万里焼」としてまとめて呼称されることも少なくありません。

2. 伊万里焼を代表する3つの様式

伊万里焼は、主にその作風によって多種多様な様式に分かれます。この様式の豊かさも伊万里焼の人気を押し上げている要因のひとつであり、文化として豊かな土壌を持っていることの証明でもあります。

 

本章では、そんな伊万里焼の多種類あり様式のなかから代表的なものを3つ紹介します。

2-1. 柿右衛門様式

「柿右衛門(かきえもん)様式」とは、初代酒井田柿右衛門によって1670年代に確立されたと考えられている伊万里焼の様式です。その特徴は、“濁手(にごしで)”と呼ばれる温かみある乳白色の素地の余白を残したまま、鮮やかな赤を基調とした色絵を施していくダイナミックな構図にあります。

 

この絵画的な構図は海外での評判にもつながり、特にヨーロッパの王侯貴族や富裕層の間で人気を博しました。柿右衛門様式の伊万里焼が当時のヨーロッパに与えた衝撃は大きく、マイセン窯というヨーロッパを代表する磁器の焼成にも影響が広がりました。

2-2. 鍋島藩窯様式

江戸時代、現在の佐賀県にあった鍋島藩の鍋島藩窯において、藩による厳正な管理のもとで焼成された磁器に施された様式を鍋島藩窯様式と言います。17世紀後半、有田にあった鍋島藩窯は伊万里の大川内山に移転し、当地にて独創的な磁器の数々を製作していきました。

 

当時の鍋島藩窯では主に将軍家・天皇家・諸大名などに向けた献上品・贈答品の製造を行っていたことから、気品ある芸術的な作品が多く見られます。そのデザインは植物や風景、幾何学模様などさまざまなモチーフを純和風に統一したもので、下絵具は藍色に、上絵具は赤・青・緑の3色に限られていました。

 

また鍋島藩窯で作られた磁器は民間への流通が禁じられていたとされており、現代でも希少価値の高い高級品となっています。

2-3. 古伊万里様式

古伊万里様式は17世紀終盤の元禄年間に発祥したとされる様式で、数ある伊万里焼の様式のなかでも豪華絢爛さで知られています。

 

古伊万里様式の華やかさを支えているのが、「染付」「金襴手(きんらんで)」という2つの装飾技法です。藍色の染付の素地に赤・黄・緑・金といった色での絵付だけにとどまらず、絵付の上にまで金粉や金泥による装飾を施したこの様式の磁器は、柿右衛門様式が流行した後のヨーロッパに渡って広く評判を集めました。

3. 伊万里焼のルーツと歴史を辿る

伊万里焼は単なる磁器のひとつにとどまらず、日本の陶磁器の歴史において重要な位置を占めています。

本章では、そんな伊万里焼のルーツと歴史を年代ごとに区切って解説していきます。

3-1. 日本磁器の始まり

日本国内で磁器が最初に焼かれたのは、現在の佐賀県有田町とされています。この地は伊万里焼・有田焼発祥の地としても知られており、この日本磁器の始まりが直接的に伊万里焼のルーツとなっています。

 

日本最初の磁器が焼かれる直前は、時の権力者である豊臣秀吉による朝鮮出兵が行われていた時代でした。この時肥前国の当主であった鍋島直茂は朝鮮半島から陶工たちを日本に連れてこさせており、そのなかのひとりであった李参平が日本初の磁器の焼成を成し遂げたと言われています。

3-2. 古伊万里の隆盛と海外輸出

1610年代に入ると、有田を中心とした地域で本格的に陶磁器が作られ始めます。この地域で1610~1640年代にかけて作られた磁器を「初期伊万里」といい、朝鮮半島をルーツとする唐津焼と同じ技法で作られました。

 

時を同じくして中国では明から清へと王朝の交代が起こり、清朝は陶磁器の海外輸出を禁じてしまいました。この出来事に困ったのが、当時中国と貿易を行っていたヨーロッパ諸国。オランダ東インド会社は中国製陶磁器の代替として、磁器生産が活発化していた日本に目を付けます。

 

1659年に伊万里港から旅立った焼き物は、初めて日本から海外へと輸出された磁器となりました。有田・伊万里地域で作られた磁器は以降100年間に渡って輸出され続け、ヨーロッパの王侯貴族を中心に人気を博します。輸出港である伊万里港の名前を取って「伊万里焼」と呼ばれ始めていたこの時期の製品には現在「古伊万里」という総称が付けられており、価値の高い骨董品として取り扱われます。

3-3. 近代以降の伊万里焼

明治時代以降も伊万里焼の生産は絶えることなく、その伝統は脈々と受け継がれてきました。廃藩置県によって鍋島藩の御用窯であった鍋島藩窯は消滅してしまいますが、職人たちは仕事を失っても諦めません。精巧社という団体を設立して鍋島家の御用窯として再興します。

 

1984年には伊万里焼の有名窯が集まる大川内山に鍋島藩窯公園が完成、2003年には大川内山が鍋島藩窯跡として国の史跡指定を受けました。この地は現在でも有名窯の集積地として広く知られており、多数の伊万里焼ファンを惹きつける名所となっています。

3-4. 著名な伊万里焼窯

佐賀県有田町・伊万里市を中心とする地域には現代でも多数の伊万里焼有名窯元が集まっており、それぞれ伊万里焼の伝統を守りながらも新しいアプローチを取り入れて個性豊かな焼き物を製作しています。

 

・源右衛門窯

1753年創業の由緒ある窯元で、古伊万里の伝統に忠実な力強い作品を多く世に送り出しています。源右衛門窯には「古伊万里資料館」が併設されていて、江戸時代に作られた貴重な磁器の数々が展示されています。

 

・柿右衛門窯

柿右衛門様式で知られる酒井田柿右衛門の一族が代々受け継いできた格式ある窯のひとつ。伊万里焼を代表する様式や素地を次々と編み出し、現在では重要無形文化財「柿右衛門(濁手)」としての指定を受けています。

 

・虎仙窯

伊万里焼生産の中心地である大川内山に拠点を構える名門窯。江戸時代に献上用・贈答用とされていた鍋島藩窯様式の磁器を現代の生活に合わせて製作しています。

 

4. 古伊万里は骨董品としての価値が高い

先述の通り世界的に大きな人気を誇った古伊万里は、伊万里焼のなかでも特に価値の高い骨董品として評価されています。必要であれば骨董品として買取に出すことで、思わぬ額のお金が手に入るケースも少なくありません。

 

そこで本章では、古伊万里の買取に関する情報を紹介します。

4-1. 古伊万里の買取相場

結論から言えば、古伊万里の買取相場は作品一つひとつの価値の違いに大きく左右されるため、一概にこの程度と言うことは簡単ではありません。

強いて言えば買取価格は~数十万円の範囲に収まることが多いですが、特別に価値の高い作品なら数百万円単位での取引となる場合も考えられるでしょう。

4-2. 高額査定が期待できる古伊万里の特徴

以下5つの特徴を持つ古伊万里は、高額査定が期待できるでしょう。

  1. 初期伊万里:1610~1640年代に作られた「初期伊万里」は市場に出回る数が少ないため希少価値が高く、高価買取の対象となります。
  2. 柿右衛門様式の古伊万里:海外で広く人気を集めた柿右衛門様式の古伊万里はコレクションとしての価値が高いため、買取市場においても高値で取引されています。
  3. 金襴手様式の古伊万里:豪華絢爛な装飾で知られ、製作に時間と手間がかかる金襴手様式の古伊万里は、高額査定を受けやすい傾向にあります。
  4. 付属品が揃っている:共箱や共布、鑑定書といった付属品が揃っていると、査定額がアップするでしょう。特に共箱は真贋判定の材料となるケースもあり、査定において重要な付属品となります。
  5. 裏印がある:裏印とは、磁器の裏側にある落款や陶印のこと。裏印には磁器が作られた磁器や窯元、作家の情報などが記されており、作品価値の裏付けとなることから査定額に影響を与えます。

4-3. 偽物の古伊万里の見分け方

骨董品としての価値が高く高値で取引される古伊万里には、残念ながら偽物が多く出回っている現状があります。間違って偽物をつかまされないためにも、以下の点に注意して見てみてください。

  1. 反射による光沢

製造から数百年の時を経た本物の古伊万里の表面は光沢が失われており、どこかくすんだ印象を与えるはずです。一方偽物の古伊万里は不自然なテカりがあったり、光を強く反射していたりするかもしれません。

 

  1. 水平にした時の歪み

古伊万里が製造された江戸時代には焼き上げる温度を均一にする技術がなかったため、当時の作品にはある程度歪みが出てしまうのが一般的でした。現代の技術を使って作られた偽物には水平に置いた時の歪みが見られず、どこか機械的な印象を与えます。

 

  1. 小さな傷の有無

現代からはるか昔に前に製造された本物の古伊万里の表面には、使用や保管の際に付いてしまった古傷があります。偽物の場合は傷が全くなかったり、不自然な新しい傷が付いていたりするケースが見られます。

5. 古伊万里の絵柄に多い縁起物

古伊万里に描かれる絵柄のモチーフには、しばしば縁起物が選ばれました。普段の生活のなかではもちろん、贈答用としても使用された古伊万里ですから、幸せを願う吉祥模様がモチーフに選ばれるのは自然なことであったと言えるでしょう。

 

古伊万里によく見られる縁起模様には、以下の例があります。

・茄子→「成す」に通じることから

・松竹梅→松は「不老長寿」竹は「繁栄」梅は「生命力」を表すことから

・瓢箪→8の形が末広がりであり、物に絡みついて「子孫繁栄」「商売繁盛」を表すことから

・唐草→弦が絡んで伸びていくさまが「生命力」の象徴とされることから

・鯉の滝登り→鯉がやがて龍に変身するという伝説から「立身出世」「成功」を意味することから

・亀→「長寿」の象徴であることから

・青海波→広い海に穏やかな波が広がる「未来永劫」、波の形が末広がりの8を表すことから

 

古伊万里に描かれた模様の意味を知ることで、その価値をより味わい深く感じられるのではないでしょうか。

6. 伊万里焼のお手入れについて

伊万里焼を骨董品として扱う場合はもちろん、鑑賞用や生活用であっても手入れを行うことは重要です。日常的に手入れをしてこそ、伊万里焼本来の輝きが永く続くというもの。ぜひ本章で紹介する方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

6-1. 生活に使用する場合

伊万里焼を生活で使用する場合には、購入後にまずぬるま湯で軽く洗っておきましょう。ぬるま湯に晒すだけで汚れや匂いが磁器に付きにくくなるので、永く快適に使用できます。

 

食器として使用後にはぬるま湯で汚れを浮かせながら、中性洗剤を含ませたスポンジで優しく洗ってください。特に伊万里焼では強く擦ると表面に傷が付き、絵柄が剥がれてしまうことも考えられるため注意が必要です。

6-2. 骨董品・鑑賞用の場合

製造から長い年月の経っている骨董品や、最大限美しさを保つ必要のある鑑賞用の伊万里焼については、できる限り慎重に取り扱うのが原則です。

 

ほこり表面に溜まっている場合には、フロアブラシや小型掃除機などで優しく吸い取ります。また軽いシミなどが付いた時には、ぬるま湯に通した柔らかいブラシを使ってのブラッシングが効果的。ただし、汚れを落とす前に必ず目立たない箇所でブラッシングを試して、傷が付かないことを確かめておいてください。

 

もし油汚れや茶渋などが付いてしまったら、アセトンを含ませた綿棒で汚れを擦り取ります。なお、アセトンは薬局で簡単に購入が可能です。

6-3. 保管方法

たとえ手入れを適切に行えていたとしても、保管方法が間違っていれば伊万里焼の状態はどんどんと悪くなっていってしまうでしょう。

 

磁器である伊万里焼は吸水性の高い陶器ほどではないもののやはり水に強いとは言えず、湿気のある場所で保管するとシミやカビの原因となります。そのため水洗い後はよく乾かしてから、風通しのよい場所で保管することが重要です。

 

また磁器と磁器を重ね合わせてしまうと傷を生む原因となるので、一つひとつ重ねないように保管することを心掛けてください。

まとめ

本記事では、伊万里焼の持つ魅力や歴史、買取事情などについてお伝えしてきました。

 

日本の陶磁器発祥の地で製作される伊万里焼は長年受け継がれてきた伝統技法を背景に持っており、確かな品質と美しさで広く人気を集めています。なかでも江戸時代に作られた「古伊万里」は骨董品としての価値が高く、二次流通市場で高く取引される傾向に。生活用・鑑賞用のほか、骨董品として投資用に購入する人も少なくありません。

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