2025.12.18

金が高い理由は?歴史・需給・市場心理から読み解く「金」の価値を徹底解説!

金が特別な理由

金は数多ある貴金属の中でも、とくに特別視される存在です。古代文明の時代から、金は富と権力の象徴として扱われ、貨幣制度にも大きな影響を与えてきました。現代においても、その価値は失われるどころか、国家間の緊張や金融不安が高まるほど注目される傾向があります。

 

近年では歴史的高値を更新し続けており、「なぜ金はこんなに高いのか」「この価格上昇はいつまで続くのか」といった疑問を持つ人も多いでしょう。

 

そこで、今回は、金が高い理由に加え、価格がどう決まるのか、そして高騰がいつまで続くのかという将来展望までをわかりやすく解説していきます。

1. 金が特別視される理由

金が特別扱いされる理由は、単に「希少だから」というシンプルな理由だけではありません。物理的な性質や歴史的背景、文化的価値や経済的機能など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

1-1. 採掘量が限られ、増産が難しい希少性

金がほかの金属と異なる最大の特徴は希少性です。世界中で採掘されている金の総量は少なく、歴史上これまでに採掘された金をすべて集めても、オリンピックプール3~4杯程度だと言われています。つまり、地球上に存在する金はもともと少ないうえに、採掘できる場所も限られているのです。

 

さらに、現代では技術の進歩によって採掘効率は高まったものの、新たな大規模金鉱山の発見は減少傾向にあります。たとえば、かつてのように「巨大金鉱を発見」というニュースは世界的にも珍しく、採掘会社は既存の鉱山の深部や質の低い鉱石を採掘するしかなくなっています。

 

採掘には莫大な費用が必要で、金価格が上昇したとしても、数年以内に供給を一気に増やすことはほぼ不可能といえるでしょう。そのため、金の供給量は長期的に「緩やかな増加」にとどまり、市場の需要が増えるほど価格が押し上げられる構造になっています。

1-2. 世界中で価値が共有されてきた長い歴史

金が特別視される理由には、非常に長い歴史があります。金は紀元前3000年の古代エジプトにおいて、すでに王権の象徴として扱われていました。さらに、「永遠」を表す神聖な金属として信仰にも使われていました。また、古代ローマ帝国では金貨が発行され、国際的な取引の基盤となったのです。

 

歴史が積み重なった結果、金は普遍的に価値があるものとして世界中に認識されるようになりました。銀や銅なども古代から利用されていますが、金ほど文化を越えて高い評価を受け続けてきた金属はほかにありません。

 

文化を超えて価値が共有されるといった性質は、現代の国際金融市場においても非常に重要です。たとえば、国家が破綻したり、通貨が急落した場合でも、金そのものには国境がないため、どの国でも価値を認められます。この普遍性はほかの資産にはない独自の強みといえるでしょう。

1-3. 劣化しない化学的安定性

金のもうひとつの大きな特徴は、安定した化学的性質です。金は酸化しにくく、腐食せず、変色しません。ほかの金属は空気や水と反応して劣化しますが、金は何千年たっても価値を変えず、美しい輝きを保ちます。

 

上記のような性質があるからこそ、古代文明の金製品が現代でも当時のままの状態で出土しているのです。価値保存手段として金が選ばれ続けている理由のひとつは、この圧倒的な耐久性にあります。

1-4. 通貨としての機能を維持しやすい

現代では金本位制は廃止されていますが、金の通貨としての機能は完全に失われたわけではありません。各国の中央銀行は依然として金を外貨準備として保有しており、国際金融における信用の裏付けとして機能しています。

 

一般の投資家にとっても、金の魅力は国家や銀行の信用に依存しない資産という点にあります。銀行預金や国債はその国の信用リスクを負いますが、金そのものは信用リスクを一切負いません。この信用独立性は、現代の不安定な金融市場において非常に重要な価値を持っています。

2. 金の価格は何で決まるのか

金の価格がどう決まるのかは、多くの人が誤解しやすいポイントです。金は株式のように企業業績で動くわけでも、債券のように利息を生むわけでもありません。それでも価格が大きく動くのは、多様な要因が複雑に絡み合っているからです。

 

ここでは、金の価格に影響を与える主要な要因を詳しく見ていきましょう。

2-1. 世界の需要と供給

金の価格を左右する最も基本的な要因は需要と供給です。しかし、金の場合はこのバランスがほかの商品とは異なります。金の場合、需要は経済状況や投資家心理によって大きく変動しますが、供給は増やしにくいという特性があります。

 

【主な金の需要】

  • 投資需要(ETF、地金)
  • 宝飾品需要
  • 工業用需要(電子部品など)
  • 中央銀行の金買い増し

とくに、投資需要と中央銀行による買い増しは、価格を動かす大きな要因です。世界情勢が不安定になると投資家が金に資金を移し、さらに中央銀行もリスク回避として金を買うため、需要が急増します。

 

一方、供給は前述のとおり急に増やせないため、市場がタイトになり、価格が押し上げられる構造になります。

2-2. 為替の影響

金は世界市場でドル建てで取引されるのが一般的です。そのため、ドルが弱くなると金の名目価格は上昇しやすくなります。さらに、日本では円安が続いており、円ベースではドル建て以上の速度で金価格が上昇することもあります。

 

国内の金価格は「金の国際価格 × 為替レート」という構造のため、為替要因だけで国内価格が大きく動くことがあります。

2-3. インフレ率と金価格の関係

インフレが進むと紙幣の価値が下がるため、現物資産である金が相対的に魅力を増します。

とくに、近年の世界的インフレは金価格を直接刺激する要因となっています。

 

実際、歴史的にもインフレ局面では金価格が上昇しやすい傾向が確認されています。

2-4. 地政学リスクと“安全資産”としての金

戦争、紛争、政治不安、金融危機などの地政学的リスクが高まると、投資家はリスク資産から資金を引き上げ、安全資産である金に資金を移す傾向があります。

 

【金が有事に強い理由】

  • 国家の信用に依存しない
  • 現物資産として価値が消えない
  • 歴史的に価値を保ち続けてきた実績がある

これらの理由から、「有事の金」という言葉が生まれたとされています。

2-5. 金利動向

金は利息を生まないため、金利が高くなると相対的に不利になり、価格が下がりやすくなります。逆に金利が低下していく局面では金の人気が高まり、価格は上昇しやすくなります。

3. なぜ今、金価格が高騰しているのか

近年の金価格は歴史的水準に達しています。この高騰は一時的なものではなく、複数の大きな要因が同時進行で金価格を押し上げているため、非常に強い上昇圧力が続いています。

 

ここではその主な理由を詳しく見ていきましょう。

3-1. 世界的なインフレと金融政策の不透明感

世界中でインフレが続いており、物価の上昇に対する懸念が強まっています。アメリカやヨーロッパでは食品、エネルギー、住宅価格などが上昇し、これが金への投資需要を押し上げています。

 

また、各国中央銀行の金融政策が読みづらくなっており、市場が不安定な状態にあります。金利がいつ下がるのか、金融引き締めがいつ緩むのか予測しにくい状況では、安全資産である金の需要が高まりやすくなるのです。

3-2. 米ドルの不安定さと各国の金備蓄増強

世界経済の変動によって米ドルの不安定さが増し、各国がドル依存を減らすために金の保有量を増やしています。とくに、新興国などは外貨準備として米ドル以外の選択肢を求めており、金の買い増しが進んでいます。

 

中央銀行が積極的に金を買うと市場の需給が大きく締まり、価格が強く上昇します。

3-3. 国際情勢の緊張による「有事の金」需要

地政学的リスクが高まっている現在、世界各地で紛争や政治緊張が続き、国際情勢は非常に不透明です。こうした環境下ではリスク回避のための金需要が増加し、価格を押し上げる要因となっています。

4. 金の高騰はいつまで続くのか?

金の高騰は多くの人が関心を寄せるポイントです。しかし、その答えは非常に難しく、明確に予測することは困難です。

4-1. 複数要因から堅調との見方が強い

以下の複数の要因が重なっている以上、金価格が短期的に大きく下落する可能性は低いと見られています。

  • 世界的インフレ
  • 中央銀行の金買い増し
  • 米ドルの不安定さ
  • 地政学リスクの高まり

4-2. 断続的な値下がりはすでに起こっている

ただし、金価格は常に上昇しているわけではありません。短期的には利確売りや経済指標の改善などにより、価格が下落する場面もあります。上昇と下落を繰り返しながら、全体的には上昇基調にあるのが現在の市場状況です。

4-3. いつ下落が始まるかは誰にも予測できない

金価格は世界情勢に強く依存しているため、大きな転換点は後にならないとわからないことが多いです。専門家の予測も一致せず、価格の天井や底を正確に当てることは極めて難しいのが現実です。

4-4. 金投資を検討する際の注意点

金投資にはメリットも多い一方、次のような注意点もあります。

  • 短期の値動きに惑わされない
  • 資産全体のバランスを考えて保有量を決める
  • 国内では為替リスク(円高)にも注意する
  • 必ずしも「永遠に上がる資産」ではない

5. 金投資のリスクと誤解

金は歴史的に価値を保ち続けてきた資産であり、多くの投資家が「安全資産」として選んでいます。しかし、金投資には他の金融商品と同様にリスクが存在し、リスクを理解しないまま取引してしまうと期待した結果が得られないことがあります。

 

ここでは、金投資を行ううえで知っておくべき代表的なリスクについて見ていきましょう。

5-1. 金は必ず上がるという誤解

金は長期的には上昇傾向を見せてきたものの、これは「必ず上がる」という意味ではありません。むしろ、金価格は経済情勢や為替、地政学リスク、金利などによって大きく揺れ動く資産です。

 

たとえば、金利が上昇した時期には金の魅力が相対的に低下し、価格が下落することがあります。金は利息を生まないため、金利の高い時期には債券などの利回り資産の方が選ばれやすくなるからです。また、世界経済が安定し株価が堅調に推移する局面では、リスク資産の需要が高まり、金が売られ価格が下がることもあります。

 

実際、金価格は数年間にわたって低迷する期間も過去には何度もありました。たとえば、1980年に高値をつけた後、2000年頃まで20年近く下落トレンドや横ばいを続けた時期もあります。

 

金は「永遠に値上がりし続ける資産」でも「価格が下がらない安全な資産」でもありません。重要なのは、長期保有を前提に、価格変動を受け入れる姿勢で保有するというスタンスです。

5-2. 地金の盗難・保管リスク

金の現物を購入する際に忘れてはならないのが、「保管リスク」です。金地金や金貨は、そのものに価値があるため、盗難の対象になりやすい資産です。

家庭で保管する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 耐火金庫
  • 隠し場所の工夫
  • 防犯対策

また、火災などで溶けてしまった場合も価値が損なわれる可能性があります。このため、多くの安全志向の投資家は、以下のような保管サービスを利用します。

 

【安全な保管方法】

  • 金融機関の貸金庫
  • 貴金属店の保管サービス
  • 信託型の保管サービス

ただし、保管サービスには月額費用や管理料がかかるため、長期保有するとコスト負担が増えるというデメリットがあります。

金の現物を持つ魅力は確かに大きいですが、安全性とコストのバランスを理解した上で選択することが重要です。

5-3. 買取価格と売却手数料の落とし穴

金の売買には、必ずスプレッド(買値と売値の差)が発生します。スプレッドが大きいほど、投資家にとっては不利になります。

 

たとえば、買うときは1g 10,000円で、売るときが1g 9,600円の場合、購入した瞬間に400円の損失を抱えます。これが売買手数料(実質的なコスト)に相当します。

 

とくに、金地金や金貨を売却する場合は、以下について注意しておかなければなりません。

  • 手数料
  • 刻印の有無
  • 品質(純度)
  • 売却先の買取基準

5-4. 為替リスクが利益を消すケース

日本国内で金を取引する場合、円相場の変動が金価格に非常に大きな影響を与えます。

金価格の変動および為替変動というふたつの要因にさらされており、為替が金投資の利益を打ち消してしまうことがあるのです。

 

とくに、金価格が堅調でも、一時的な円高局面では国内価格が数%単位で下落することがあります。金は安全資産と言われますが、為替リスクは完全には避けられません。

5-5. 長期保有しても利益が出ない可能性

「長期で持っていれば金は必ず儲かる」という誤解も多くの投資家が抱えています。

しかし現実には、長期で見ても利益が出ない(または大幅に薄い)期間があります。

 

先ほど述べたように、金価格は1980年に高値をつけた後、約20年にわたり低迷しました。この間に金を長期保有していた投資家は、ほとんど利益を得られませんでした。

 

また、金は株式のように配当を生みません。債券のように利息もつきません。そのため、価格が上がらない期間は、基本的に何のリターンも生まない資産となります。

6. まとめ

金の価値は、希少性、歴史、化学的安定性、普遍的信頼性といった要素によって支えられています。世界情勢が不安定になるほど、金の価値が見直される傾向にあるのもこのためです。

 

短期的には調整局面もあり、予測できない値動きが起こる可能性はあります。しかし、長期的に見れば金の価値が大きく崩れる可能性は低く、資産保全手段として非常に優れた存在であることは変わりません。

 

今後も、金は価値のある資産として世界で重要な役割を果たし続けるでしょう。

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