ふたつの顔を持つ神秘の宝石「アレキサンドライト」~その高貴さの奥に秘められた魅力とは~

ふたつの顔を持つ神秘の宝石「アレキサンドライト」~その高貴さの奥に秘められた魅力とは~

世に神秘的な輝きを持つ宝石は数あれど、「アレキサンドライト」ほど明確に見た目を変える宝石は多くありません。

この希少性の高い宝石は光の当たり方によってその色を変える“変色効果”を持ちその幻想的な特性から世界中の人々を魅了してきました。

本記事では、そんなアレキサンドライトの魅力に迫ります。

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1. 「アレキサンドライト」の特徴と魅力

「アレキサンドライト」は19世紀にロシアで発見され、日光の下では“縁がかった青色から深緑色”に、白熱灯の下では“すみれ色から赤紫色、オレンジ色など”にその色を変える実に神秘的な宝石です。

この宝石の魅力はクリソベリルと呼ばれる鉱物の変種であることに加え、世界のいくつかの大陸で産出こそされるものの産出の絶対量が少なく希少性が高いことなど、複数の要因によって形作られています。

1-1. アレキサンドライトの鉱物学的特徴

先述の通り、アレキサンドライトは“クリソベリル”という鉱物の一種であり、主にベリリウムとアルミニウムといった成分から構成されています。ただし、変種であるアレキサンドライトの成分構成には一般のクリソベリルとは少々異なる点も。アレキサンドライトは酸化クロム・酸化鉄・酸化バナジウムといった成分を含んでおり、このことが一般のクリソベリル(黄~黄緑色)とは異なる発色へとつながっています。

宝石の硬度を表す国際的な基準である“モース硬度”によると、アレキサンドライトの硬度は「8.5」と比較的高い部類に入ります。このことから、傷やヒビなどの心配は他の宝石に比べて少なく済むのがこの石の魅力のひとつではあるものの、日々身に着けていればどうしても損傷のリスクは高まるため、お手入れや保管方法に気を付けることが必要です。

1-2. アレキサンドライトの産地

アレキサンドライトは希少性の高い宝石でありながら、実は世界各地で産出されていることも特徴のひとつです。主要な産出国には、ロシア、ブラジル、インド、スリランカ、マダガスカル、ジンバブエ、タンザニアなどがあります。

内包物(インクルージョン)やクラックの多い宝石としても知られているアレキサンドライトですが、ロシアで産出される石にはこうした不純物が少ないとされ、特に宝石に使いやすいと言われてしてきました。しかし、現在ではロシア産のアレキサンドライトはほとんど枯渇してしまっていることから、ロシア産の品質の高いアレキサンドライトは特に高額で取引されています。

なお、残念ながら日本国内ではアレキサンドライトの産出の記録はありません。

1-3. アレキサンドライトの石言葉と身に着ける意味

アレキサンドライトには、「秘めた想い」「高貴」「誕生」「旅立ち」「栄光」などの石言葉があります。ここで注目するのは、「秘めた想い」という言葉。この石言葉からは、周囲に流されることなく自分の信念を持って進む気持ちの強さや、変色効果のあるアレキサンドライトのように表の顔とは違う別の魅力を持っているといった意味が読み取れます。

これらの石言葉からは、アレキサンドライトを身に着けたときに表れる効果も分かります。例えば、石言葉「秘めた想い」に由来する“自分に自信を持つ効果”や「栄光」からつながる“才能や人間性を伸ばす効果”、“魅力を引き出し恋愛運を上げる効果”などを持つとされています。

1-4. アレキサンドライトは6月の誕生石

誕生石は、その月に誕生日を迎える人が身に着けるとそのパワーが高まるとされる宝石です。日本では、2021年にアレキサンドライトを6月の誕生石として追加しました。現在6月の誕生石は、真珠、ムーンストーン、アレキサンドライトの3つになります。

2. アレキサンドライトの歴史

19世紀に発見されたばかりと比較的短い歴史を持つアレキサンドライトですが、現在のように世界的な人気を博するまでにはさまざまな局面を経てきました。本章では、そんなアレキサンドライトの短くも濃い歴史を振り返ります。

2-1. ロシアにおける発見

アレキサンドライトの発見は、1830年のロシアにおける出来事でした。炭焼きであったマキシム・コシュフェニコフはある寒い日の朝、トコバヤ川沿いの林の中を歩いていると、足元に緑色に美しく光る石を見つけます。その石がエメラルドと認定されたことをきっかけに、ウラル山脈沿いの鉱山ではエメラルドの採掘が始まります。

その鉱山では、エメラルド以外の宝石もよく見つかりました。なかでも、色の変わる不思議な石が注目を集めます。その石は日光の下では深い緑色に、蝋燭の火の下では赤く光るのです。後にこの石はエメラルドとは別種の宝石であると認められ、ロシア皇帝に献上されることとなります。

2-2. 皇帝の名前に因んで命名

色を変える不思議な石がロシア皇帝に献上された日は、何と後にアレキサンドル2世として皇帝に即位するロシア皇太子の成年式の日でした。このことからこの石は「アレキサンドライト」と命名されることとなったと言われています。ただしこの説には異論もあり、アレキサンドライトが発見された日がアレキサンドル2世の誕生日である1830年4月23日だったという異説も存在します。

いずれにしても、皇帝の名前が付けられたこの宝石は「皇帝の宝石」という異名を持つこととなり、ロシア国内での人気へとつながっていきました。

2-3. ロシア中で人気を呼ぶ

アレキサンドライトが発色する緑と赤の2色は、偶然にもロシアの軍服のテーマカラーと一致していました。後のロシア皇帝の名が付けられたことと合わせてある種「国を象徴する宝石」となったアレキサンドライトは、ロシア中で人気を呼ぶこととなります。

ロシア人の誰もがこの新しい宝石を欲しがるようになったことは良いものの、実際に採掘を担当する鉱山労働者たちの苦労は相当のものでした。希少性の高いアレキサンドライトの原石は掘っても掘ってもなかなか発見できないばかりか、当時の採掘方法はまだまだ原始的で労働者に負担の大きいものばかり。ただでさえ希少なことに加え採掘の困難さから、アレキサンドライトの希少性はますます高いものとなりました。

2-4. 王族・貴族間における世界的な広がり

緑色から赤紫色までに色を変えるアレキサンドライトは、その神秘性と希少性からさまざまな国の王族・貴族の間でよく用いられてきました。とりわけ発見された当初はロシアからの持ち出しが厳しく制限されていたことから選ばれた王侯貴族たちだけが入手可能な状況にあり、そのこと自体が宝石の価値を高める効果を持っていました。

王族・貴族間で愛用されてきたという歴史もあり、この宝石には“高貴”なイメージが定着します。このような背景や希少価値の高さなどから、アレキサンドライトは宝石に特別な関心を持つ人々からの注目を集め続けているのです。

3. アレキサンドライト最大の特性「変色効果」

「昼のエメラルド」「夜のルビー」という愛称で親しまれるアレキサンドライトの変色は、どのような仕組みで起こるのでしょうか。本章では、当たる光の種類によってその発色を変える「変色効果」の仕組みと、アレキサンドライト以外の変色効果を持つ宝石について解説していきます。

3-1. 昼のエメラルド

日中太陽光の下でアレキサンドライトを見やると、青緑色やエメラルドグリーンに見えるはずです。この現象は、アレキサンドライトに含まれる「クロム」という金属元素が自然光のなかの青から縁の波長を反射することで生まれるもの。このことから明るい時間帯のアレキサンドライトには、「昼のエメラルド」という愛称が付いています。

3-2. 夜のルビー

夜に見るアレキサンドライトは赤色や赤紫色に見えることから、「夜のルビー」とも呼ばれています。この現象が起こるのは、白熱灯などの人工光、蝋燭や焚火に含まれる赤や紫の波長を宝石内のクロムが反射するため。太陽が沈んでから妖艶に赤紫に輝き始めるアレキサンドライトは、日中の顔とは異なる印象を与えてくれます。

3-3. アレキサンドライト以外の変色効果を持つ宝石

アレキサンドライトの大きな特徴である変色効果は、この宝石だけに特有のものではありません。例えば、ガーネットやアンデシン、アメジストは変色効果を持つ代表的な宝石です。とりわけガーネットはアレキサンドライトのような緑色と赤紫色製の組み合わせだけに留らず、カーキ色からオレンジ色や赤色、茶色、青色、グレーなどさまざまな発色をするタイプのものが存在します。

しかし、変化の明瞭さや色の組み合わせの美しさ、宝石としての希少性といった要因から、アレキサンドライトの持つ変色効果は他とは一線を画していると言えます。

4. 特別に希少価値の高い「アレキサンドライト キャッツアイ」

ただでさえ希少価値の高いアレキサンドライトのなかでも、更に数が少なく貴重な特性を示す宝石が「アレキサンドライト キャッツアイ」です。この石はアレキサンドライト200ピース中ひとつあるかどうかというほどレアなもので、キャッツアイという名前を冠した数多の宝石のなかでももっとも高価な部類に属します。

元々この「キャッツアイ」という名称は、“シャトヤンシー効果”を持つ宝石に冠されるもの。シャトヤンシーはフランス語を語源とし、「猫の目のような」という意味があります。シャトヤンシー効果を持つ宝石には光を当てた時に猫の目のような一筋の光の線が現れることから、このような名称が付きました。

アレキサンドライト キャッツアイは、神秘的な外見はもちろんのこと、“変色効果”と“シャトヤンシー効果”というふたつの効果を併せ持った大変珍しい宝石なのです。

5. アレキサンドライトの買取について

宝石愛好家の間で根強く人気を集め、希少性も高いアレキサンドライトは、市場において高値で取引されるケースがしばしばあります。

そこで本章では、アレキサンドライトの買取に関する情報を詳しくお伝えしていきます。査定・買取の利用前に、ぜひ目を通してみてくだい。

5-1. アレキサンドライトの評価基準

アレキサンドライトは、市場においてどのような基準で評価されているのでしょうか。以下に、主要な評価基準を挙げました。

5-1-1. カラー/変色効果

アレキサンドライト最大の特徴ともいえる変色効果の強さと美しさは、この宝石の価値に直結する重要な要素。緑から赤への変色が強い個体ほど、市場では高く評価されます。一方で変色が弱い個体や色が濃くて変化が分かりづらい個体などは評価の減点対象となります。

5-1-2. 透明度

多くの宝石においては、より美しさがクリアに見える透明度の高い石ほど高く評価される傾向にあります。また、内部にインクルージョン(内包物)がない個体ほど評価は高くなります。

5-1-3. 大きさ(カラット)

アレキサンドライトのほとんどは1カラット(0.2グラム)に満たないサイズで、1カラットを超えるものは希少です。カラットが大きくなるにつれ、その価格は跳ね上がります。

5-1-4. カット

宝石に施されたカットの質によっても、その評価は変動します。特にアレキサンドライトの場合は、「多色性」と呼ばれる見る角度によってその色が変わる性質を持っているため、尚更カットの質が重要になるのです。結晶の方向を正しく見極めてカットされている宝石ほど、評価は高くなります。

5-2. 人工アレキサンドライトについて

アレキサンドライトには、人工的に作られたいわゆる「人工アレキサンドライト」が存在します。これらの石は見た目は天然石と酷似しているものの、市場における価値は大きく異なり、買取価格も天然石と比べて大幅に下がります。

その他、天然石のなかにも人工的な着色が施されている場合もあり、注意が必要です。お手持ちのアレキサンドライトが天然石なのか、人工石なのか、それとも加工石なのかを確認する場合、根拠となるのが鑑別書です。購入時に鑑別書が付属していた場合には、捨てずに保管しておくことをおすすめします。

5-3. 宝石の価値を正しく評価してもらうために

もしお手持ちのアレキサンドライトを買取に出すことをお考えであれば、「価値を正しく評価してもらいたい」と思うのは当然のことです。宝石の価値を正確に見極めてもらうためには、以下の点に気を付けてみてください。

5-3-1. 付属品を揃えておく

宝石そのもののみならず、購入時に付いてきた付属品を揃えて提出すると査定額に影響を与えます。宝石の代表的な付属品としては、外箱や鑑別書など。特に鑑別書はその宝石の価値を証明する貴重な付属品なので、可能な限り宝石と一緒に査定に出スことをおすすめします。

5-3-2. 信頼できる買取店を選ぶ

信頼に足る買取店を選ぶためには、宝石の査定経験が豊富な店舗を選ぶことが大切です。そうした買取店であればこそ、お手持ちの宝石の価値を正確に評価してくれるばかりか、宝石の買取に関する質問や相談にも応じてくれるはずです。

5-3-3. 宝石をお手入れしておく

その状態によっても宝石の査定価格は変動します。宝石の状態を良好に維持するために重要なのが、日頃からのお手入れです。お手入れ方法の詳細については次章にて解説しているので、ぜひ目を通しておいてください。

6. アレキサンドライトのお手入れ方法

変色効果を持ち、眩い輝きを放つアレキサンドライトも、長く使っているとその輝きを鈍らせてしまうこともあるでしょう。そこで重要なのが、定期的なお手入れです。

6-1. 日々のお手入れ:柔らかい布で拭く

日常的なお手入れ方法としては、着用後に柔らかい布で宝石の表面の汚れを拭き取る程度で充分です。着用後の宝石には皮脂や汗、埃などが付着しているため、そのままにしていると宝石の輝きを曇らせる場合があります。

注意点としては、あくまで“柔らかい”布を使用すること。間違って硬い布を使用してしまうと、拭き取りの際に宝石表面に傷を付けてしまうかもしれません。ジュエリーショップなどでは専用のクロスも販売されているので、お手持ちのアレキサンドライトを大切にしたい方ほど購入をおすすめします。

6-2. しつこい汚れには:中性洗剤入りのぬるま湯を使う

柔らかい布で拭いただけでは取れないしつこい汚れには、中性洗剤入りのぬるま湯を使用するのが効果的です。比較的硬度が高く水にも強い性質を持つアレキサンドライトであればこそ、このようなお手入れ方法も利用可能です。

手順としてはまず風呂桶などにぬるま湯を張り、少量の中性洗剤を垂らします。続いて毛先の柔らかいブラシなどを使って宝石に付いた汚れを落としていきます。ぬるま湯でよく洗浄した後には、清潔な布で水分を拭き取ることが大切。そうすることで、雑菌の繁殖や宝石の質の劣化を防ぐことができます。

6-3. 保管方法:傷付かないように注意

アレキサンドライトを保管する際に重要な点は、まず他のジュエリーなどと一緒にせず、個別に保管することです。そうすることにより宝石が他の硬い物質と接触して傷付くことを防げるため、可能であれば専用のジュエリーボックスなどを利用すると良いでしょう。

加えて、直射日光の当たる場所や高温多湿な場所といった過酷な環境も避けるべきです。このような環境下で保管すると、宝石の劣化を招く危険があります。

7. まとめ

本記事では、宝石「アレキサンドライト」の魅力や特徴について紹介してきました。

アレキサンドライト最大の特徴といえば、当たる光の種類によってその発色を変える「変色効果」。ふたつの異なる顔を持つこの石の神秘性は、身に着けているだけで優雅な気分にしてくれます。

ご不要になったアレキサンドライトのジュエリーをお持ちでしたら、一度査定に出してみてはいかがでしょうか。希少価値と需要の高い宝石ですので、高額での取引が期待できます。

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