2025.10.28

“宝石の女王”の名を持つ「真珠」〜その歴史と特徴、魅力に迫る〜

真珠

多くのアクセサリーに使用され、古くから国を問わず愛されてきた宝石「真珠」。

“宝石の女王”とも呼ばれるその美しさの裏側にはどのような歴史が、またどのような特徴があるのでしょうか。

本記事では、そんな真珠の魅力を多方面から紐解いていきます。

1. 真珠の定義と特徴

「真珠(英語名:パール)」という宝石は、海や川、湖などに生息している“二枚貝”から採取されるものです。二枚貝の貝殻の内側には独特の輝きとツヤを持つ成分があり、その成分が貝の体内に入った異物を核として何重にも包み込むことで、真珠という宝石を作り上げます。

ただし、二枚貝から採取される真珠が全て宝石と認定されるわけではありません。採取された真珠はその美しさや耐久性、希少性などを指標として評価され、基準をクリアしたものが晴れて宝石として販売される仕組みになっています。

 

2. 真珠の宝飾品としての歴史

真珠は研磨などの必要がなく、採取したままの状態で“宝石”と呼ぶに相応しい輝きを持っていることから、古くから宝飾品として多くの人々からの寵愛を受けてきました。そのため、真珠の宝飾品としての歴史は非常に長く、古くは紀元前7世紀から宝飾品として知られていたとされます。

近代においては、世界的ブランド「シャネル」の創始者であるココ・シャネルが真珠の大ファンとして有名で、模造品の真珠と本物の真珠を組み合わせて使っていました。このことが真珠を一般大衆の間に普及させるきっかけとなり、さまざまなタイプの真珠アクセサリーが販売されるようになっていきます。

 

2-1. 世界における真珠の歴史

古から世界中で愛されてきた真珠を元々採取していたのは、アラビア半島の人々であったとされています。古代メソポタミア時代の遺跡から、数多くの真珠が出土しているのがその証拠です。ただし、古代から真珠を採取していた地域は中国やインド、アフリカなどにもあり、当時から世界的に宝飾品としての人気が高かったことが示唆されています。

また、古代においてはエジプトの女王「クレオパトラ」が真珠を愛用していたと知られています。古代ローマの政治家「アントニウス」との宴会で、世界最大の真珠のイヤリングを酢に溶かして飲んだという逸話は、今日まで語り継がれているものです。

大航海時代から近代にかけては、多くのヨーロッパの人々が他地域の真珠を求めるようになりました。特に、イギリスの「エリザベス女王」は真珠をこよなく愛したヨーロッパ王族のひとりです。

20世紀に入ると、養殖真珠や模造品の真珠が一般化し、真珠を使用した宝飾品が量産され始めます。ハイブランドやハリウッドスターを通して宣伝される真珠の魅力は瞬く間に一般大衆の間に広まって、世界中の女性が真珠アクセサリーを求め始めるようになりました。

 

2-2. 日本における真珠の歴史

日本においても真珠の宝飾品としての歴史は長く、古代邪馬台国の女王「卑弥呼」も真珠を所有していたと伝えられています。当時から真珠の価値を認識していた日本の人々は、中国大陸との交易品としても真珠を用いていたそうです。

また日本は古代から天然真珠の一大産地となっていて、13世紀に日本を訪れた「マルコ・ポーロ」の東方見聞録では、日本が黄泉と真珠の国として紹介されています。これをきっかけに、西洋との真珠を通じた交易は江戸時代以降活発化していくこととなります。

明治時代の1916年には、藤田昌世が養殖真珠の実用化に成功。それ以降真珠は、日本の主要輸出品目のひとつとなりました。第二次世界大戦後、当時の情勢により日本がほぼ唯一の真珠輸出国となると、当時の真珠ブームも相まって国内の真珠養殖は大発展を遂げていきます。海外への輸出がひと段落して以降には国内市場の開拓にも乗り出し、こうして日本は世界有数の真珠生産国・消費国となりました。

 

3. 主な真珠の種類

ひと口に真珠と言っても、実際には二枚貝の種類や育つ海域、加工方法などによってさまざまな種類に分かれます。そこで本章では、主要な真珠の種類とそれぞれの特徴について紹介していきます。

 

以下には、本章で紹介する真珠の種類を挙げました。

  • アコヤ真珠
  • 淡水真珠
  • 黒蝶真珠
  • 白蝶真珠
  • マベ真珠
  • ケシ真珠

3-1. アコヤ真珠

真珠と聞いて多くの人が思い浮かべるであろう真珠が、おそらくこの「アコヤ真珠」でしょう。アコヤ真珠は、1858年に御木本幸吉が世界で初めて養殖に成功して以来日本で養殖される真珠の多くを占めています。

その特徴は、透明感を持ちながらも柔らかい光を放つ上品な美しさ。カラー展開もホワイト、クリームといった穏やかな雰囲気を持つものが中心で、冠婚葬祭などのフォーマルなシーンでも問題なく身につけられることがメリットのひとつです。

加えて、アコヤ真珠の大きさはおよそ3〜10mm程度と大き過ぎず、きれいなラウンド型のフォルムの商品が多いことも着用のしやすさに一役買っています。

 

なお、「鑑別機関において、巻き・照り・キズ・形・色全てで最高品質と認められた鑑別書付きのアコヤ真珠」は、特別に「花珠真珠」と呼ばれます。希少性が高く非常に美しい花珠真珠には耐久性もあり、一生身に着けられる価値を持った真珠でもあります。

3-2. 淡水真珠

淡水真珠とは、その名の通り川や湖などの淡水に生息するイケチョウ貝などから採れる真珠の総称です。国内に流通している淡水パールのほとんどは中国からの輸入品であり、日本においては琵琶湖や茨城の霞ヶ浦といった限られた地域でのみ養殖されています。

海で採れる真珠と比べると淡水真珠には小ぶりなものが多く、輝きも比較的柔らかな印象です。そのため、フォーマルなシーンでの使用にも問題がありません。

形に関しては「ポテト」と呼ばれる楕円形をしたものが主流であるものの、ラウンド型やライス、ドロップなどさまざまなフォルムの真珠があることも特徴です。

3-3. 黒蝶真珠

黒っぽいカラーをした個性的な魅力を放つ真珠が、この「黒蝶真珠」。ほとんどがタヒチで生産されていることから、タヒチ黒蝶真珠とも呼ばれています。

ホワイト系の真珠と比べてシックで奥深い輝きを持つ黒蝶真珠は、大人の女性にピッタリの色合いです。基本となるブラック系の他にもグリーン系、レッド系、グレー系などその系統はさまざまに存在しており、自分の好みに合ったものを見つけやすいでしょう。そのほか、比較的落ち着いた印象の黒蝶真珠であれば葬儀の場でも問題なく着用できることも忘れてはいけないポイントです。

3-4. 白蝶真珠

「白蝶貝(しろちょうがい)」と呼ばれる南半球最大の真珠貝から採取されるこの白蝶真珠には、オーストラリアやフィリピン、インドネシアといった南洋の国々で生産されていることから、「南洋白蝶真珠」という呼び名もあります。

最大の特徴は、そのサイズの大きさ。なかには直径が19mmに達するものもあり、その存在感はほかの真珠と比べても格別です。さらには、大きさに加えて華やかさも秀でていることから結婚式などの大舞台におすすめの真珠でもあります。

白蝶貝には、大きく分けて縁が銀白色のシルバーリップと黄色のゴールドリップの2系統があり、それぞれのカラーの真珠が複数存在します。

3-5. マベ真珠

マベ真珠は熱帯、亜熱帯に生息するマベ貝から採取される真珠で、日本では特に奄美大島で多く養殖されています。生産地が限られるマベ貝から採れるマベ真珠は希少価値が高く、かつては「幻のパール」と呼ばれていました。

マベ真珠は形が他の真珠とは異なり半円形をしているのが特徴です。その理由は、身が大きく筋肉質なマベ貝には真珠の核を埋め込むことができず、貝殻の内側に核を貼り付けるためです。ただし、実際には養殖の方法によって楕円形や涙形などさまざまなバリエーションが存在します。

また薄い結晶で構成される真珠層の効果によって、虹色の干渉色が出現することがあります。その色は“太陽の光”とも称されるほど見事なもので、他の真珠にはない魅力です。

3-6. ケシ真珠

ケシ真珠とは核を持たない真珠の総称であり、ケシの実に似ていることからこう名付けられました。養殖真珠の副産物として採取されることが多く、偶発的にできるものという希少性があります。

養殖の期間中に母貝が偶然取り込んだ砂や虫などの異物の周囲に真珠層が形成されることでケシ真珠は出来上がるため、ひとつ一つ形が異なり、非常に個性的な外見をしているものが多く見られます。加えて、核のある真珠に比べて真珠層が分厚くなりやすく、奥行きのあるツヤ感と輝きを放つ点も魅力的です。

4. 人工パールとは?

人工パールとは、その名の通り人工的に作られたパールのこと。ガラスやプラスチックといった核となる物質にパール塗装を施すことで、真珠の輝きを再現しています。

本章ではそんな人工パールの特徴と、本物の真珠との見分け方について解説します。

4-1. 人工パールの特徴

人の手によって作られる人工パールは、本物の真珠を模倣して作られるため「イミテーションパール」「フェイクパール」とも呼ばれます。大量生産が可能であることから、安価に手に入る点が魅力のひとつです。そのほか、本物に比べて人間の汗や皮脂に強く、劣化しにくいという特徴も。普段から気軽に真珠を身に付けたい方にうってつけです。

一方で、大量生産品である人工パールは天然のものよりも形が均一になりやすく、個性が発揮しにくいといったデメリットも存在します。

4-2. 人工パールの見分け方

人工パールと本物のパールを見分ける方法には、以下のようなものがあります。

  • ブラックライトを当てたとき青白く発光するものが本物、しないものが人工パール
  • 表面に傷や凹凸があるものが本物、表面に傷や凸凹がなく滑らかなものが人工パール
  • 真珠の穴の形がきれいなものが本物、歪みや表面のガサガサ感があるものが人工パール
  • 手で触れたときに表面温度が低いものが本物、暖かいものが人工パール
  • 粒の形や大きさがひとつずつ違うものが本物、均一なものが人工パール

※上記はあくまで参考例になります。

最高品質のパールは表面に傷やエクボが全くない場合があります。また、近年の技術の向上によりブラックライトで発光するフェイクパールなど、見極めが難しい精巧な人工パールもあります。きちんと調べたい方は専門店での鑑定がおすすめです。

5. 真珠にまつわる雑学:石言葉は「純真無垢」「純潔」「富」「健康」

真珠は、「純真無垢」「純潔」「富」「健康」といった石言葉を持っています。真珠の持つ白いイメージが“純粋”“純潔”を連想させるとともに、真珠が長い年月をかけて成長することから“確固たる富”や“健康”の象徴とも言われてきました。

また、丸い真珠は「縁を結ぶ」と見做されて結婚式などの場で喜ばれることも特徴です。

そのほかにも真珠は「月のしずく」「人魚の涙」という異名を持っており、涙を象徴するとして葬儀の場でも身に付けられる稀有な宝石となっています。

6. 真珠のお手入れ方法

生きた貝の身体から作られる真珠は繊細であり、その輝きを長く保つにはお手入れ方法に注意を払う必要があります。そこで本章では、正しい真珠のお手入れ方法について解説していきます。

6-1. 使用後は柔らかくきれいな布で拭く

真珠のお手入れでもっとも重要な点が、使用後に柔らかくきれいな布で拭くことです。弱酸性である人の汗や皮脂は真珠層の大敵であり、パールの融解や変色につながります。そのため、真珠を使い終わったら早めに柔らかくきれいな布で拭き上げて、清潔さを保つようにしましょう。

汗や皮脂のほかにも、酸を含んだ食品・薬品や水分は真珠の苦手とするものです。これらの物質が付着したときには、直ちに拭き取るようにしてください。

6-2. 湿気や直射日光を避けて保管する

カルシウムを主成分とする真珠は、水分からも影響を受けます。真珠の変質につながる恐れがあるため、湿気の多い場所、あるいは極度に乾燥した場所に置いておくことは避けてください。

さらには、直射日光の当たる場所にも注意が必要です。真珠層に含まれるタンパク質は、紫外線や熱を浴びると褐色に変化する性質を持っています。変色を避けるためには直射日光を避けることはもちろん、極力光を浴びないようにケースなどに入れて保管すると良いでしょう。

6-3. 特に汚れが気になるときのお手入れ方法

特に汚れが気になるときには、一旦ぬるま湯で絞った布で汚れを拭き取ってから乾いた布で乾拭きを行うと良いでしょう。こうすることで頑固な汚れを取ると同時に、水分の付着によるパールの劣化を防ぐことができます。

7. 真珠の買取について

もし手元に不要な真珠があるなら、買取に出してお金に換えたいとお考えの方は少なくないでしょう。本章では、真珠の買取相場や高価買取のポイントについて解説します。

7-1. 真珠の買取相場

宝石の一種である真珠製品には、ある程度まとまった買取価格を期待できます。買取相場を決定する要因としては、パールの品質や種類のほか商品の状態やブランド名も重要です。

以下に真珠の買取参考価格を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

種類 参考買取価格
アコヤ真珠 6.5mm ネックレス 6,000~30,000
花珠真珠 7mm~7.5mm ネックレス*1 35,000~60,000
黒蝶真珠 13mm リング 10,000~20,000(パールに対して)
白蝶真珠 10mm~15mm ネックレス 20,000~1,200,000 *2

*1 真珠科学研究所の鑑別書にて花珠認定されていることが最低条件になります。

*2 状態はもちろんのこと、鑑別書の鑑定機関、特別呼称などにより買取価格が大きく異なります。

※いずれも中古美品・付属品が揃った状態かつノーブランド品の場合の参考価格です。真珠の色味や品物の状態、ブランド、売却時期などによって価格は変動します。

7-2. 真珠の種類やカラー、品質が買取価格を左右する

真珠には多種多様な種類やカラー、品質のものがあり、それぞれ人気や希少性が異なることから買取価格にも違いが生まれます。そのため、自分の売りたい真珠の種類や品質を前もって知っておくことで、相場に対して適正な買取価格を見極められます。

7-3. 鑑別書・証明書を用意すると良い

買取に持ち込まれるパールのなかには質の悪いものや偽造品も混在しているため、買取店には慎重な査定が求められます。そこで、鑑別書・証明書を用意しておくと信頼性を担保することとにつながり、買取価格の上昇につながります。

8. まとめ

本記事では、“宝石の女王”とも称される宝石「真珠」の歴史と魅力について掘り下げてきました。

長い歴史の中でさまざまな著名人たちに愛されてきた真珠には多種多様な製品があり、自分に似合うものを見つけやすい環境にあります。自分にぴったりの美しい真珠を見つけることができれば、一生ものの宝物となるはずです。

また真珠は資産としての価値も高いため、一度購入しておくと将来的に買取に出すことである程度のリターンが期待できるでしょう。

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