翡翠とは何か?特徴・歴史・雑学・使われ方・お手入れ方法について徹底解説!

古の時代から人々を魅了し、東洋の神秘の象徴とされてきたのが「翡翠」です。
その鮮やかで透明感が高い緑色の宝石は、見る者に安らぎを与え、数々の伝説や物語を生み出してきました。
特に、エメラルドグリーンに輝く「インペリアルジェイド」と呼ばれる最高品質の翡翠は、多くの人々を虜にし、権力者たちがこぞって愛したと伝えられています。
では、翡翠とは一体どんな宝石なのでしょうか。
今回は、翡翠とは何か、特徴・歴史・雑学・使われ方・お手入れ方法についてどこよりも詳しく解説します。
本記事を読むことで、翡翠に関する基本的な知識から奥深い個性や価値を知ることができ、お店で見かける翡翠が、これまでとは全く違った特別な輝きを放つ宝石に見えることでしょう。
1. 翡翠の特徴
なぜ、古来より人々は翡翠に特別な価値を見出してきたのでしょうか。
その答えは翡翠の持つさまざまな特徴に隠されています。
こちらでは翡翠の特徴について解説します。
1-1. 翡翠の名前の由来
翡翠の読み方は「ヒスイ」と読みます。
英名は「Jade(ジェイド)」です。
翡翠の名前の由来は、18世紀頃の中国(清朝時代)において、空飛ぶ宝石と呼ばれる「カワセミ(翡翠)」という美しい野鳥の名前が由来です。
「翡(ひ)」とは、赤色のことで、「翠(すい)」とは、緑色のことを指します。
翡色と翠色を併せ持つ「カワセミ(翡翠)」の美しい緑色にちなんで「翡翠」と名づけられました。
ちなみにこの時、翡翠と名付けられた宝石は「ジェダイト(硬玉)」のことです。
また「翡翠」の言葉自体は、司馬遷の「史記(紀元前91年)」の司馬相如伝に「翡翠ヲ揜ル(※とらえる)」や「翡翠之葳蕤(※羽飾り)ヲ錯フ」など「カワセミ(翡翠)」とみられる記述があります。
1-2. 翡翠には2つの種類がある
翡翠は一見するとどれも同じように見えますが、「ジェダイト(硬玉)」と「ネフライト(軟玉)」の2つに大きく分かれます。
この2つはさまざまな点において全くの別物です。
それぞれの違いは次の通りです。
[ ジェダイトとネフライトの違い ]
ジェダイト(硬玉) | ネフライト(軟玉) | |
鉱物名 | 翡翠輝石(ひすいきせき) | 角閃石(かくせんせき)の一種の鉱物 |
モース硬度 | 約6.5〜7(硬い) | 6~6.5(柔らかめ) |
見た目の印象 | みずみずしい透明感がある印象(無色、白色、濃淡のある緑色、黒緑色、黄緑色) | ややくすみがかった落ち着いた印象
(無色、白色、緑色) |
用途 | 指輪、ネックレス、イヤリング、ブレスレットなどの主に高級ジュエリー | 彫刻、置物、装飾品、お守り、伝統工芸品などの主にアクセサリー系の加工品 |
主な産地 | ミャンマー(特に高品質)、日本、グアテマラ | 中国(新疆)、カナダ、ロシア、ニュージーランド |
価格・価値 | ・一般的に高価格
・高品質なものは非常に高額で、宝石市場で「高級翡翠」として扱われる ・希少性が非常に高い |
・一般的に低価格
・ジェダイトより安価 ・手頃な価格で手に入る ・希少性は高くない |
一般的に、高級ジュエリーとして扱われるのは「ジェダイト(硬玉)」の方です。
1-3. 最も価値が高い翡翠とは?
最も価値が高い翡翠はジェダイトの中の「インペリアルジェイド(Imperial Jade)」です。
ちなみに「インペリアル」とは、「帝国の」「皇帝の」「皇室の」という意味で、権威や威厳を表す言葉です。
インペリアルジェイドを和訳すると「皇帝の翡翠」という意味になります。
またインペリアルジェイドは、別名「琅玕(ろうかん)」とも呼ばれます。
「琅玕」とは、中国語で、「美しく青々とした竹」という意味で、伝説上の鳳凰が食べる竹の実の色を形容する言葉として使われていました。
インペリアルジェイドの特徴は次の通りです。
[ インペリアルジェイドの特徴 ]
見た目 | 色鮮やかで、ほぼ透明な深みのあるエメラルドグリーン |
主な産地 | ミャンマーのカチン州の鉱山 |
希少性 | インペリアルジェイドの品質を持つジェダイトは採掘量が限られることから、非常に希少性が高い |
1カラット(0.2g)
当たりの価格 |
ミャンマー産の未処理のインペリアルジェイドの取引価格は次の通り
・2カラット未満のものは1カラットあたり400ドル ・2〜10カラットのものは1カラットあたり500ドル ※価格は変動する |
過去の最高値 | インペリアルジェイドを使用したジュエリーで過去の最高値といわれているのは、アメリカ人のバーバラ・ハットンが所有していた「ハットンムディヴァーニネックレス」で、2014年の「サザビーズ香港オークション」で、翡翠のアクセサリーとしては当時史上最高額の30億円でカルティエに落札されたという記録がある |
価格が高騰している理由 | インペリアルジェイドの価格が高騰している理由は、中国、香港、台湾で需要が高く、特に中国では古くから富と権力の象徴、また縁起物として人気が高いから |
1-4. 翡翠の主な産地
宝石の価値は、その希少性と美しさによって決まりますが、それは産地と密接な関係にあります。
翡翠も例外ではありません。
世界各地で翡翠は産出されますが、それぞれの産地によって、品質が大きく異なります。
こちらでは翡翠の主な産地についてご紹介します。
[ 翡翠の主な産地 ]
国名・産地 | 翡翠の種類 | 用途 | 価値のランク |
ミャンマー・カチン州の北部 | ジェダイト(インペリアルジェイド) | 指輪、ネックレス、ブレスレット、イヤリングなどの高級ジュエリー | 最上級品 |
日本・新潟県糸魚川周辺 | ジェダイト | 勾玉、ブレスレット、指輪、ペンダントトップ | 最高級品~上級品 |
グアテマラ・マヤ地域(モタグア川流域) | ジェダイト | ブレスレット、ペンダントトップ、指輪、イヤリング、マヤ文化の工芸品 | 上級品 |
中国新疆ウィグル自治区のホータン地区 | ネフライト | ブレスレット、リングの主石 | ・上級品(羊脂玉:ようしぎょく)
・和田玉(ほーたんぎょく)は高級品 |
2. 宝飾品に用いられだした歴史
翡翠は各国の王族から中国の皇帝まで、宝飾品として広く使われてきました。
特に、中国においては、古くから翡翠は「玉(ぎょく)」と呼ばれ、金よりも高貴なものとされてきました。
清朝末期の権力者であった西太后が翡翠を愛したことは特に有名です。
皇帝や貴族は、翡翠で作られた宝飾品を身につけることで、その権威や富を誇示しました。
こちらでは翡翠が宝飾品に用いられだした歴史についてご紹介します。
2-1. 中国での歴史
中国では、ネフライトとジェダイトの2つの異なる宝飾品の歴史があります。
紀元前1600年頃、中国最古の殷王朝では、ネフライトが霊石として崇められるようになりました。
その後、春秋戦国時代になると、現在の新疆ウイグル自治区で純白のネフライト(和田玉)が発見されます。
儒家の始祖孔子は、純白のネフライトを「玉(和田玉)」と名付け、皇帝が持つべき五つの徳(仁・義・礼・智・信)と結びつけました。
秦から南北朝時代にかけて、白玉の彫刻工芸が大きく発展することになります。
特に有名なのは、秦の始皇帝の白玉の印章「伝国璽(でんこくじ)」です。
伝国璽とは、玉璽(ぎょくじ)のことで、皇帝の持つ印鑑のことです。
これ以降、積極的に純白のネフライトを使った宝飾品が作られていきます。
時代が流れ清王朝時代になると、鮮やかで透明度の高い美しい緑色のジェダイトがミャンマーから入ったことで、宮廷の后妃たちに広く好まれるようになりました。
特に清朝末期の絶大な権力者であった西太后は、ジェダイトが持つその透明感と深みのある緑色に魅せられ、生涯にわたり愛用したとされています。
実際に、西太后が全身にジェダイトを身にまとった写真が残されています。
2-2. 日本での歴史
日本での翡翠の宝飾品としての歴史は縄文時代に遡ります。
最初につくられたのは大珠(たいしゅ)と呼ばれる細長い翡翠に穴を開け紐を通してペンダントヘッドのように使われていた翡翠です。
その後、小粒のビーズ状に加工されたものや勾玉(まがたま)などが登場しました。
さらに首飾り、指輪、腕輪などもつくられます。
また天皇陛下に代々伝わる三種の神器の1つ「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」は翡翠でつくられた宝飾品として最も有名です。
3. 翡翠にまつわる雑学
翡翠は、その美しさだけでなく、知れば知るほど奥深い魅力を持つ宝石です。
誰もが知っている有名な話から、思わず「へえ!」と感心してしまうような意外な事実まで、翡翠にまつわる雑学は尽きることがありません。
こちらでは翡翠にまつわる雑学についてご紹介します。
3-1. 日本の国石
1つ目の雑学は翡翠は日本の国石であることです。
翡翠は、2016年に日本鉱物科学会によって日本の国石に選ばれました。
選ばれた理由は主に次の5点です。
- 縄文時代から日本で使われていたから
- 鉱物科学・地球科学・考古学的に重要で価値があるから
- 翡翠文化が日本全域に及んでいたから
- 産出が現在まで継続し、見学できるから
- 糸魚川周辺の産地が法律によって保護されているから
3-2. 地球上で最も頑丈な宝石
2つ目の雑学は地球上で最も頑丈な宝石であることです。
硬度ではダイヤモンドが最高の10で、翡翠(ジェダイト)は6.5〜7で、ダイヤモンドの方がキズつきにくい性質を持っています。
ただし翡翠は「靭性(じんせい)」という割れにくさという強さを持っており、「堅牢のジェイド」と呼ばれるほど割れにくく、地球上で最も頑丈な宝石です。
3-3. 五徳の石
3つ目の雑学は翡翠は中国では五徳の石と呼ばれていることです。
古代中国の儒教では、立派な人間には「仁・義・礼・智・信」という5つの徳(良い心や行
動の基準)があると考えられていました。
翡翠の美しさや性質が、これらの徳に似ているとされ、儒教の始祖孔子によって「五徳の石」と呼ばれるようになったといわれています。
4. 翡翠は何に使われている?
翡翠は、古くは「玉(ぎょく)」と呼ばれ、その美しい緑色と神秘的な輝きから、中国では、皇帝や貴族の宝飾品や儀式用の道具として用いられてきました。
ただし、その使われ方は、時代と共に大きく変化しています。
こちらでは現代においての翡翠の使われ方についてご紹介します。
4-1. 翡翠のネックレス
翡翠のネックレスとは、ビーズにした翡翠や翡翠の石をつなげたものを首に着けるジュエリーのことです。
翡翠のビーズを連ねたり、大きな翡翠の石をチェーンや紐に通したりします。
緑色の輝きが首元を上品に飾り、普段使いから特別な場面まで使えます。
4-2. 翡翠のブレスレット
翡翠のブレスレットとは、翡翠のビーズやチャームをゴムやワイヤーでつないだものを手首に着けるジュエリーのことです。
丸い翡翠のビーズを連ねたものが一般的で、パワーストーンとして「癒し」や「幸運」を願って身につける人も結構います。
シンプルで普段使いしやすく、カジュアルなシーンにも映えます。
スピリチュアル好きな人には人気のアイテムです。
4-3. 翡翠の指輪
翡翠の指輪とは、翡翠そのものをリング状に加工したもの、翡翠を主石として加工したもの、翡翠のリングに彫刻を施したものなどを、指に通して着けるジュエリーのことです。
翡翠そのものをリング状に加工したものは、シンプルなデザインながらスピリチュアル感があり、男女問わずおすすめです。
また翡翠を主石として加工すると緑色であればエメラルド、赤色であればルビーの指輪のように遊び心のあるオシャレを楽しむことができます。
ちなみにエメラルドをカボションカットすると、琅玕にそっくりになると言われています。
4-4. 翡翠のピアス
翡翠のピアスとは、翡翠を小さなビーズにしたものやカットしたものを耳に着けるジュエリーのことです。
小さな翡翠を耳に直接つけるスタッドピアス、揺れる動きがエレガントなドロップピアス、翡翠に花や動物などの模様を彫った彫刻ピアス、翡翠をフープに組み込んだフープピアスなどがあります。
翡翠のピアスを着けることで顔周りが明るく上品に見えます。
4-5. 翡翠のペンダント
翡翠のペンダントとは、翡翠をペンダントトップとしてチェーンや紐に通したものを首から下げるジュエリーのことです。
翡翠の石をチェーンで吊るした一粒石ペンダント、翡翠に花・龍・仏像・動物などの模様を彫った彫刻ペンダント、金・シルバー・プラチナなどの金属枠に翡翠をはめ込んだセッティングペンダント、翡翠と他の宝石を組み合わせたものなどがあります。
金属チェーンであれば高級感がありフォーマルなシーンに、紐であればナチュラルでカジュアルなシーンにぴったりです。
翡翠は滑らかで軽く、長時間つけていても快適で全く疲れません。
また糸魚川産の翡翠を使ったペンダントトップは人気です。
5. 翡翠のお手入れについて
翡翠は非常に丈夫な宝石ですが、美しい輝きを長く保つためには、適切なお手入れが不可欠です。
日常のちょっとした不注意が、翡翠の美しさを損なう原因となることもあります。
こちらでは翡翠のお手入れ方法についてご紹介します。
5-1. 使用後の基本的なお手入れ方法
翡翠のジュエリーを使用後には、汗、皮脂、ホコリがついている可能性があるので、ジュエリー用の柔らかいクロスで、優しく拭いてください。
普段のお手入れは、ジュエリー用の柔らかいクロスで拭くだけで十分です。
注意点は、力を入れ過ぎてゴシゴシ拭かないようにすることです。
5-2. 汚れがひどい場合
汚れがひどい場合の翡翠のジュエリーのお手入れ方法は、ぬるま湯に食器用洗剤などの中性洗剤を少しだけ入れて、柔らかいブラシを使って優しくこすってください。
洗浄した後は、洗剤の成分が残らないようにきれいにすすぎます。
すすぎ後には、乾燥した柔らかい布で、水分がしっかりとれるまで拭きあげてください。
仕上げは、風通しが良く、涼しい場所でしっかりと乾燥させます。
5-3. 保管方法
翡翠のジュエリーの保管方法は、直射日光、高温多湿、極端な乾燥が及ばない場所で保管してください。
理由は、変色してしまうリスクがあるからです。
具体的には、直射日光が当たらず、風通しの良い場所に置いたジュエリーボックスの中がおすすめです。
6. まとめ
今回は、翡翠とは何か、特徴・歴史・雑学・使われ方・お手入れ方法について解説しました。
翡翠は、そのエメラルドグリーンの美しさから、古来よりさまざまな宝飾品に加工されてきた歴史ある宝石です。
特に中国では「玉」として特別視され、皇帝や貴族たちは我先に好んで美しい翡翠を身につけ、地位や権力や財力、徳の高さなどを競って国内外に自らの価値の高さを示してきました。
現代では、高級ジュエリーとして多くの人たちに愛される宝石としてさまざまな場面で身に着けられています。
ぜひ、あなたも翡翠の神秘的な輝きを身近に感じてみてはいかがでしょうか。


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